自力で生き抜く!生き残るためのスキルアップなんていらない – 書評 – 独立国家のつくりかた
2012/12/12
生活費0円。
それを実現できるのは実家暮らし?はたまたホームレス?
自分の家を持っていてもそれを実現することはできるそうです。
家を持つのはお金がかかるという「幻想」
なぜ人間だけがお金がないと生き延びることができないのか。そして、それは本当なのか。
No.40/2238
著者が子供の頃から持っている疑問の答えは、路上生活者の「家」を見た時に見つけられます。
ある路上生活者が、捨てられたゴミを「素材」に変え、所有者のいない土地に家を作り、自家発電までやってのけて生活していたのです。
そこに足りないものは公共の場を利用する。こんな風にして、工夫して生きている姿を目の当たりにした著者は「これだ!」と思うわけです。
小さい頃に、家に置いてあったスッポリ体が入るダンボールを改造して1日中暮らしていた僕にとっては、スケールは違えど、この路上生活者が素直に羨ましく感じられました。
今でも、そのダンボール暮らしが印象に残っているからか、大きい家よりも小さい家の方が好きだったりします。学生時代に買った車の借金返済が苦しかったことも重なって、「身の丈以上のモノを買う必要なんてない」という考えを強く持っています。
そういうことからか、著者の意見にはかなり賛同できる部分がありました。
そこまで立派なものにはできないけど、家を持つのにお金はかからないという考えは、なかなか面白いです。
「増やす」から「減らす」へ
生活費が0円になれば、労働に縛られることがない。自分で人生を選ぶことができる。
何もしたくない人はしなければいい。そんな人はいないから。
…
労働から解放されるということが使命を全うするための近道になるはず。僕はそう考えている。
No.1993/2238
本書で最も個人的パラダイムシフトが起こったのが、お金を増やすことに頭をつかうのではなく、お金を使わないことに頭を使うということ。
世の中には興味をそそるものが無限に存在しています。それを手に入れようと思うと、必然的にお金が必要になります。
最近良く目にするのが、「これから日本で生き残るにはどうしたらいいか」という話題。そのためにはスキルを付けて、他の人ができない技術を身につけなければならない、というような話です。
完全な間違いではないかもしれませんが、その主張には財産を「増やす」、または「維持する」ことが前提になっています。
本書は全く反対で、生きるために本当に必要な物は何か「思考」する、という観点。生活費を0にするために頭をフル回転させて、必要なお金を最低限に減らすという考えです(減らすというより「無くす」かもしれません)。
この「増やす」から「減らす」という観点に痛く感動してしまいました。
大工によって建てられた家に住み、キッチンで料理したものを食べる。そんな「生活の常識」を本気で疑う点が、よくある節約術とは180度違います。
でも電気とかどうするの?
単細胞な僕は本書を読み進めながら、0円ハウスに住む自分を想像して「意外と生きていけるじゃん」なんてことを口にしていたのですが、重大なことに気づいてしまいました。
電気です。
僕にとって電気はかなり重要で、「たかが電気」ではなかったりします。Appleが好き。それ以上の説明は不要なはず。
狼狽する僕を尻目に、著者の坂口さんはそれも想定済みなようで。
コンピューターをしっかりと使えるような電気システムを12ボルトで構築する。そうすれば電気代ももちろん0円である。
No.2068/2238
ただ、インターネットを使おうとすると、どうしてもお金がかかるので、その辺はすこし工夫する必要がありそうです。
公衆Wi-Fiが月額数百円の時代なので、なんとかなりそうではあります。
…話が逸れてしまいましたが、電気を「自分で構築する」というのが、そんなことが出来るなんて知らなかった僕にとっては、かなり魅力的です。
「自力で生き抜く」ことを本気で考えた人だけが生き残れるのかもしれません。
さいごに
書評で面白いところを抜粋するだけだと、非現実な生活っぽく感じてしまうかもしれませんが、本書は現実とお金を使わない生活を照らし合わせて、今の暮らし方を見直すことが出来る面白い本です。
タイトルで敬遠してたのを後悔しました。
この本を紹介してくれた友人に感謝しつつ、太陽光発電に不向きな北陸地方ではどんな暮らし方があるかを妄想してみたいと思います。
目次(Amazon.co.jp)より
プロローグ ドブ川の冒険
第1章 そこにはすでに無限のレイヤーがある
第2章 プライベートとパブリックのあいだ
第3章 態度を示せ、交易せよ
第4章 創造の方法論、あるいは人間機械論
終 章 そして0円戦争へ
エピローグ 僕たちは一人ではない
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