我が故郷、石川県の羽咋市神子原のお米をローマ法王が食べたらしい -書評- ローマ法王に米を食べさせた男
2012/12/19
石川県在住の@hawk_aです。
わかったブログで紹介されていた本が気になって買ってみたところ、石川県羽咋市の神子原町が舞台になっていました。
高齢者の割合が半数を超える「限界集落」になっていた町を、羽咋市役所の職員がどのようにして救ったのか。っていうことが書いてある本。
「身近にもこんな素敵な話があったんだ!」と、興奮してしまって一気に読み終えてしまいました。
ギリギリが「本質」を呼ぶのかも
著者である羽咋市役所の職員、高野さんは、神子原を再生するときの予算を60万円と決めました。
市長が「桁が違うんじゃないか?」というほどの低予算。
高野さんはあえて低予算で再生を始めようとしました。ギリギリまで自分を追い込んだほうが「燃える」という理由で。
高野さんが頭をフルに回転させて考えたことを次々行動に移していくのを見て、その「ギリギリ感」が尋常じゃないくらいのエネルギーを生むんだと感じました。
何かを広めようとするときって、大体の人は宣伝をしようと考えます。CMとか広告とか。
それが一番わかりやすいアピールの仕方だからです。でも、予算が60万だと広告費だけで底を尽きます。
だから必死で頭を使って低予算で最大の効果が出ることを考える。
そうやってギリギリの状態で悩んで、やっと生み出せた答えが人間の心に訴えられるものなんじゃないかと。物事の本質は限界ギリギリにこそあるんじゃないかと思います。
やっぱ頭は使うべき
この1冊のテーマはまさに「頭を使おうぜ」ということに尽きます。
衛星を使った稲の品質管理、JAを使わず直売所を作って農作物を売る、など、一見お金がかかりそうに思えることが案外そうじゃなかったりします。
衛星を使った品質管理はパソコン一台でOK。直売所は、JAとは違って自分の好きな値段で売れる。
というように、今一般的になっているものを疑問視すると、見る世界が変わります。衛星なんて、大きな商社に依頼すると300万円するらしいですが、大元の会社に依頼すれば、その10分の1の値段でできるそうです。
もう知らなきゃ損ってレベルでは済まないレベル。
やっぱり何をするにも「これが普通だから」とかじゃなくて、もっと頭を使って考えるべきだということを改めて感じました。
それにしてもすごく行きたい、神子原。
今じゃ珍しくなったご近所付き合いも、神子原ではごくごく普通の光景だといいます。
限界集落というマイナスな面しか見えてなかった町ですが、町全体が家族のような存在で、おいしいお米や野菜があるなど、いいところもたくさんあります。
自分の住んでいる場所は自分にとってごく当たり前の場所なので気づかないかもしれないですが、ものすごくいい場所だったりするかもしれないのです。
ほとんどの人は、出身を聞かれた時に「神子原です」というのを恥ずかしがっていたそうですが、そんな町がローマ法王に食べてもらえるお米を作っていたわけです。
今までは家事でしか腕をふるえなかった女性が、観光客に向けた料理を作るようにもなりました。そうやって、町の人口の2倍の観光客が来るほどになったのです。
人にも町にも必ずいいところがあるというのを、高野さんは証明しました。
それを感じられる、素敵すぎる町にとっても行きたい。
上に書いた、考え方や発想はもちろんですが、「素敵」だと感じられた大切な1冊でした。僕は何もしてませんが、なんだか石川県を誇りに思えました。
目次(Amazonより)
第1章 「一・五次産業」で農業革命!
「限界集落」の悲しい現状
「一・五次産業」への挑戦! ほか第2章 「限界集落」に若者を呼ぶ
「空き農地・空き農家情報バンク制度」
“抜魂”で仏壇の不安を解消 ほか第3章 「神子原米」のブランド化戦略
売りたい商品の長所を徹底調査
ブランド品を生む「ロンギング」作戦 ほか第4章 UFOで町おこし
「町おこし大会」では、町はおこせない!
郷土愛を深めた『羽咋ギネスブック』 ほか第5章 「腐らない米」。自然栽培でTPPに勝つ!
JAと組んで、TPPに挑戦!
“奇跡のリンゴ”木村秋則さんを口説く ほか
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